こんにちは!
仕事中でも、仕事の事より開示の質問に電話をかけることが多い「かぶ太郎」です。
12日に発表となった1,822の開示情報も大方見終わり、気になる情報はチェック!
そのなかで保有株については、損益に直結するので特に目を見張り注意することが必要ですね。
保有株の中では、すかいらーく(3197)が復配を発表、非常に喜ばしいことです!
すぐにPTSでも反応があり値上がりを見せていますが、ちょっと気になったので考察したいと思います。
すかいらーくの発表の内容は?
2021年5月に公表した2021年12月期通期連結業績予想および配当予想を修正しました。
<連結業績予想の修正>(単位:百万円)
売上収益 | 営業利益 | 税引前利益 | 当期利益 | 1株当たり利益(円) | |
前回発表予想(A) | 285,000 | 5,000 | 1,000 | 400 | 2.03 |
今回発表予想(B) | 260,000 | 21,000 | 17,000 | 10,000 | 46.64 |
増減額(B-A) | △ 25,000 | 16,000 | 16,000 | 9,600 | 44.61 |
増減率(%) | △ 8.8 | 320.0 | - | - | - |
<配当予想の修正> (単位:円)
第2四半期末 | 期 末 | 合 計 | |
前回発表予想 | 0.00 | 未定 | 未定 |
今回修正予想 | 0.00 | 14.00 | 14.00 |
(参考)前期実績 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
売上は250億円マイナスの修正となりますが、利益は大幅にプラス改善。
昨年は無配だった配当も再開し期末に14円を予定しています。
株価への反響は?
12日の終値は1,497円と最近1週間程度は下げてきていました。
しかし、15時に決算修正発表がでたところ
PTS取引では一気に上昇、+80円(+5.3%)となる1,577円まで上昇しています。
ホルダー者にとっては含み益が増えありがたい話です!
しかし、「安心して良いのかな?」と感じたので記事にしたのですが・・・。
利益回復&復配で株価上昇を安心してはダメ!
利益回復し、復配を発表したことに好感が持たれ株価が上昇。これは非常によいことだと思います。
しかし、中身が伴ってこそで、果たして今回は本当に安心してよいのでしょうか。
不安に感じたのは以下の点です。
①売上はコロナが長引いたことが理由にあるにせよ、コロナ禍で予想した期初予想より250億円もマイナス。
②2019年12月期の売上は375,394百万円なので、コロナ禍で115,394百万円(1,153億9,400万円)のマイナスと、約30%の減収。
③決算の上方修正理由が、売上増牽引のためのコストは使う一方で、自助努力によるコスト削減は継続的に行っていると言っているが、一方で時短協力金の計上が前回予想に織り込んでいた100億円を大きく上回る見通しとなったことをあげていること。
これらから、単純に株価上昇を喜んでいて良いのだろうか、潜む危険性はないのかと疑問を感じた次第です。
決算上方修正理由が根本的なものではない
先ほども記載した通り、決算の上方修正理由として「時短協力金の計上が前回予想に織り込んでいた100億円を大きく上回る見通し」とあげています。
具体的には時短協力の金額は233億円で、その他の営業外収益として計上。これにより営業利益以下の各利益はプラスに転じています。
しかし、時短協力金はあくまで一過性のもの。持続するものでは無く、コロナが終息すれば終わるものですし、財政状態から今後においても担保されるものではありません。
ということで、上記の連結業績予想の修正から時短協力金233億円を差引いた状態をみてみると、以下の通りになります。
売上収益 | 営業利益 | 税引前利益 | 当期利益 | |
業績修正予想から時短金を補正 | 260,000 | △2,300 | △6,300 | △13,300 |
<注意>時短協力金がなくなるということは、売上も回復が見込めるため、決して一概には言えるものではありませんので、あくまで参考程度にしてください。
今回復配を発表しましたが、上記からみれば完全に時短協力金233億円を当て込んでるんじゃないかと思えてしまいますね。
しかし、上記決算の数値は9月末まで。
昨年の秋は飲食業界でGoToイートキャンペーンが実施され、10月単月の売上速報値では前年を下回る会社も見られます。すかいらーくも「ステーキガスト」「しゃぶ葉」などGoToに参加していたので、業績は秋以降も前年より予想が難しいのが実情だと思います。
※併せて述べておくと、時短協力金で配当を行なっている訳ではありません。協力金はまだ入っておらず会計基準に沿い数値に盛り込まれているだけですので、法的には問題ありません。
今後の対策をみると
すかいらーくによる第3四半期決算説明資料をみてみると、大幅な増収としてデリバリーやテイクアウトをあげていますが、売上回復の糸口とするにはデリバリー43億円、テイクアウト50億円と全体から占める割合はまだまだ小さいです。
9月からガストに導入した60歳以上への「シニアパスポート」の施策は良いと思います。ただ、使用出来る範囲を本人のみでなく、同伴者も含めて使えたら3世帯などで利用する家族層としての食事の場も取り込めるのではないかと感じます。普段おじいちゃん、おばあちゃんと行かなくても、一緒に行けば安くなるなら誘って行きます。
また、アプリクーポン利用者は来店頻度が高いとしてますが、アプリ自体よく利用する客でないとわざわざスマホに落としませんので高いのは当たり前ですよ。
そして最大の疑問が、コロナ禍のなか、多くの飲食業が脱アルコールによる売上確保を図っているなか、すかいらーくは全業態で、アルコール需要獲得強化を掲げていること。
これらの補足説明をみていると根本的な売上回復の糸口はみえてこず、大手企業にしては読みが甘い(コロナ禍のなか計画した今期計画も今回売上を150億円も下方修正した)のではないかと感じています。
そして配当復活も今回のみになってしまうのではないか、本当に喜んでよいのかと思えてしまいます。
一言メモ
私自身すかいらーくの株を保有しており、この様な記事は自業自得になるかもしれません。
ただ、これを読んでくださった方が表面の数字や株価に踊らされず、少しでもお役に立てばと思います。
ただ株価だけはよく意に反して動きます。
私自身よくハズレを引きますし、まだまだ保有は続けていくつもりですので、あくまで参考程度にしてください。